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マスコミ掲載分

●「日経MJ新聞」〈平成22年(2010年)8月27日掲載〉
 『J.フロント設立新会社社長に聞く。コスト削減、指示具体的に』という見出しで㈱JFRコンサルティングの新会社発足直後にも関わらず記者の原島大介様から取材を受け、特集枠の5面に半7段で大きく取り上げて頂くとともに「記者の目」欄で非常に過分なコメントを頂いた。

●「週刊ダイヤモンド」〈平成22年(2010年)10月8日掲載〉
 『ローコスト経営の奥義を伝授』という見出しで記者の須賀彩子様に要領よく簡潔に紹介して頂いた。

●「販売革新」〈平成22年(2010年)11月号掲載〉
 『土井和夫社長が教えるコスト削減のツボ~ルール、プロセス、権限を変えて固定費を変動費に変えることです~』というタイトルで2ページの特集を組んで頂いたが、記者の西川立一様は私の考え方を図表も活用して非常に上手く纏め、紹介して頂いた。

●「ターンアラウンドマネジャー」〈平成22年(2010年)11月号掲載〉
 「銀行研修社」発刊の経営支援実務の月刊専門誌である「ターンアラウンドマネジャー」で『コスト削減とは価値観の変革~削減のプロが取り組むターンアラウンド~』というタイトルで、編集長の中山哲様の格別のご厚意により5ページもの特集を組んで頂いた。

*以下に記事の抜粋を​掲載


 

 経営支援実務の専門誌

 「ターンアラウンド マネージャー」2010年11月号 掲載分

   コスト削減とは価値観の変革

  ~削減のプロが取り組むターンアラウンド~

  経営改革や事業再生で先ず着眼するのはコスト削減で、どの企業も徹底して取り組んでいると

 思われるが、実際にはコストの分析に甘さがある、削減計画を立てても実行が進んでいない、

 という面もあるようだ。すなわちコスト削減の余地はまだあり、きちんとした取り組みを行え

 ばさらなる業績改善につながる企業も多い。

  ㈱JFRコンサルティングはJ.フロントリテイリング㈱が設立したコスト削減支援の専門会社で

 ある。同社社長に就任した土井和夫氏は、これまで大丸松坂屋百貨店でとりくんできたコスト

 削減のノウハウを、対象企業に入り込んで指導するという。同氏に具体的な取り組みにつき

 詳しくお聞きする。(聞き手:銀行出版社・中山 哲 編集長)

 

コスト削減は引き続き重要なテーマ』

 中山編集長   コスト削減は経営改善や事業再生で最初に着手する領域だが、環境が変わるなかその重要

 性に変わりはないか。

 土井  確かに経営環境は近年激変している。

 もともとの私のフィールドである百貨店業界を例に示すと、売上高が12年連続で前年を割り込むなど右肩

 下がりの状況にあり、09年は85年以来24年ぶりに7兆円を割り込み、今後5兆円台にまで縮小すると言う

 経営者もいるほどだ。

 これが何を意味しているかというと、「今までの事業構造では耐えられない」ということだ。

 つまりこれからは事業構造自体を変えていかなければ新たな成長に結びつかないのであり、「コスト

 削減」という従来の事業構造に即した施策だけでは、本質的な再生につながらない。

 我々は基本的にはそのような認識を持っている。

 とはいえ、今回「コスト削減」を支援する会社を設立したのは、まだまだコスト削減により営業利益を

 確保できる会社が多いと思われるからだ。

 特に日々の業績をマーケットに注視され、約束した営業利益を達成しなければならない企業にとっては

 直接営業利益増につながるコスト削減へのニーズは依然強いと考えている。

 事業構造自体の変化というテーマの重要性は認識しつつも、時間的な制約からなかなか取り組みにくい

 というのが実態なのだ。

 そもそも私が、大丸や大丸松坂屋百貨店でコスト削減に取り組むようになったのもそうした理由から

 だった。

 中山編集長   詳しい経緯を教えていただきたい。

 土井  私が初めてこの分野に携わったのは99年のことだ。

 大丸はその前年の98年に700名の早期退職を実施しており、一人あたりの人件費 を1 ,000万円と仮定すれ

 ば年間70 億円のコスト削減にはなっていた。

 当時大丸の営業企画部長であった私は、その効果で業績は良くなるものと考えていた。

 しかし第1四半期(3 ー5月)の業績は、目標に対して毎月20 ~ 30億円も売上が下がるという状況が続き、

 このままでは70億円の「貯金」が全部ふき飛び、増益どころか減益になってしまうことが分かった。

 そうなると、打てる手は「売上を上げるか経費を下げるか」なのだが、売上を上げるといっても、その

 時点に至っては大した策は打ち出せない。

 そこで、「経費に一度メスを入れてみよう」と考えた。

 実は、それまで経費については、総論では下げなければいけないという認識は誰もが持っていたものの、

 具体的にどの費用をどの程度減らす、といったレベルでの取組みにはなっていなかった。

 現場の店長や役員に全て任せているにすぎなかったのだ。

 そのとき私が行ったことは、3-5 月の業績が相当悪化したこと、6-8 月の見通しも悪く、このままでは

 営業利益はこれほどまで下がるので、経費を相当程度下げなければならない、ということを説明したに

 すぎない。

 削減内容にしても、その報告を行った会議の前日にパソコンに向かって算出した、アルバイトをゼロに

 するとか、新聞への宣伝費を下げるといったレベルのものだった。

 それでも15億円ほどの規模ではあったのだが、とにかくその内容を実行することを社長が即決したため、

 それ以後私はコスト削減に携わることとなった。

 当初取り組んだ際のキーポイントは、営業企画部という部門の役割を広げて全社の営業利益を管理する、

 というスタンスで入っていったことだと考えている。

 つまり、それまで営業費の管理は各職制に任せており、いわば組織が縦割りになっていた。

 そのためコスト削減目標に対して、各部門・各店舗が「うちはちゃんとやっている」「そもそも無理」

 という話をし始めてしまう。

 それではコスト削減は進まないので、営業企画部で全社の営業費を一括管理することにしたということ

 だ。

 それをずっと繰り返していくと、今度は予算作成段階から入り込めるな、というこ とになった。

 いわば「事業仕分け」だ。

 各部門の経費を管理できるということは、「前年はこれだけ使っているけれども、今年はもうちょっと

 下がるよね」という指摘ができるようになるのだ。

 こうした対策を四半期ごとに繰り返し行ってきた結果、ようやく大丸松坂屋百貨店ではコスト削減の仕事

 が社内で認知されるようになってきた。

 直近の実績を紹介すると、07 年9月の大丸・松坂屋統合以降、09 年度までで総額264億円、率にして 12 %

 減というコスト削減を実現している。

 そして、このたびこうした工ッセンスを外部にも提供するべく会社を設立することとなった次第だ 。

『構造改革がコスト削減に直結』

 中山編集長 コスト削減の手法につき、もう少し具体的なポイントを教えてほしい。

 土井 ただ「頑張れ」と何回も言ったところで、経費というのはなかなか下がらないということはご理解

 いただけると思う。

 我々の結論は、構造をどうやって変えるか、ということだ。

 そして、構造を変えるためには三つのポイントがある。

 ーつは「ルールを変えること」、もうーつは「プロセスを変えること」、最後が「権限を変えること」。

  ーつ目のルールを変えるというのは、例えばただ単に「残業を減らしなさい」と言ってもだめだ、

 ということ。

 ルールで残業を禁止しなければならないのだ。

 つまり早帰りの日 とかノー残業デー、あるいは7時に全館消灯、などといったルールを明確にする必要が

 ある。

 「暗黙のルール」だったり、人によって知っていたり知らなかったり、というのでは意味がないという

 ことだ。

 次に、部門によってルールが違うという状況を改める。

 例えば百貨店では店舗が部門のようなものだが、店舗は本社から離れ、独自の歴史も長いため、それこそ

 お茶や生け花の家元のように「流儀」が全部違う。

 すなわちルールが違っている有様であった。

 こうした状況は様々な場面で非効率を生むものなので、ルールを統一することにより解消しなければなら

 ない。

 二つ目のプロセスを変えるというのは、単純な例でいえは発注プロセスを変えるということがある。

 新規業者に参入の機会を与えて既存業者と競合させれば、価格・クオリティは「より安く・より良く」

 なるものだ。

 大丸の例をあげると、本社のコピー機はA社に頼んでおり、その費用は03年当時1枚5.5円だった。

 「ずいぶん高い」と担当者に指摘しても「A社の技術は特殊なので仕方ない」と言う。

 ところが大丸の研修所でコピー機の更新があり、B社に見積もりを依頼したところ1枚3.7円ということが

 判明した。

 それなら「本社もB社に全て変えよう」となったのだが、今度はA社から1-枚3,5円にすると言ってきた。

 要するに担当者がこれまで何のアプローチもしてこなかった、というだけのことなのだ。

 別の例では、発注部門を一元化した、ということもある。

 各店舗でそれぞれ発注するよりも、一番発注業務に優れた人間が一カ所で発注するようにした。

 同様に、経費予算なども店舗がそれぞれ別に作っていたのだが、予算は私の部署で作って、それを各店舗

 に実施してもらうことにした。

 そうすれば店舗レベルの予算策定という無駄な作業もなくせると 判断したからだ。

 このように、コストのセントラル コントロールを行うのが本社の役割、というように業務のプロセスを

 変えていった。

 つまり本部とは戦略機能、発注機能、その他集約化してできる業務を全部集めた部門であり、店舗は現場

 の業務、日常業務をいかに効率よくやるかということに注力してもらう部門、ということをはっきりさせ

 たのだ。

 業務プロセスには様々なものがあるだろうが、それらを「変える」という意識を持って取り組めば、

 もちろん構造改革そのものにつながり、コスト削減に対する効果も高いと考える。

 三つ目の権限を変えるというのは、今申し上げたように、様々な部門に権限が分散していると、それぞれ

 価格や仕様が違ったりすることが起きて結局無駄につながる。

 1カ所に集められるものは全部集めるとか、専門の機能を作るなどして、権限の分散を解消すべき、と

 いうことだ。

『担当者の評価が重要』

 中山編集長 その他要点はないか。

 土井 経費担当者は「陽の目」を浴びない場合が多く、この点を改めたほうがいいと考える。

 営業や企画の担当者はクローズアップされる機会も多くあるが、その他の部門、例えば管財、経理、

 物流、さらには用度品を扱う部門というのは、いくら頑張ってもそれほど評価されていないのではない

 か。

 にもかかわらすミスが起きれば激しく叱責される。

 例えば水漏れが起きれば大問題になるが、 10年間一切水漏れが起きていないということについてはそれ

 ほど評価されないものだ。

 これは、経費担当部門も同様ではないだろうか。

 そこで経費担当部門としては、いかに経費を効率よく使うかということで営業利益に貢献し、一方では

 それをきちんと評価する仕組みが必要だ。

 確かに売上高と営業利益が会社にとっての重要な要素なのだろうが、経費を下けることによってもその分

 営業利益に貢献できるのだ。

 この評価をはっきりと経営者はしなければならない。

 これによって担当者の意欲が変わる。

 企業の中できちんと評価されるようになれば、会社の売上が減ったときに、経費担当者は「売上が減った

 分、どこの経費を削って営業利益を確保するか」ということを真剣に考えるようになるものだ。

 そうでないと、経費担当者は「クオリティは下げられない」といった理由で高い経費を容認し続け、さら

 には予算とは役所のようにぴったり使うもの、と思うことになる。

 これを回避するには、クオリティが高くて価格を下げるといった取組みを地道に繰り返す経費担当者の

 隠れた成果が正しく評価されなければならないということだ。

 売上高が3 %、5 %減ったけれども、コスト削減によって営業利益を達成するといった「減収増益」は、

 モチベーションの高い経費担当者なくして実現しない、ということを再確認していただきたいと思う。

 中山編集長  冒頭にお話のあったとおり、売上高は右肩下がりというトレンドがある場合、経費削減

 サイドは目標達成のためには削減額を右肩上がりにしなければならなくなる。こうした点についてはどう

 対応するのか。

 土井  売上が落ちてくると、通常売上強化策が出てくるわけだが、「売上が悪くなって強化策が通用

 するのなら初めからやればいい」というのが私の意見で、もちろん強化策がうまくいってくれることに

 越したことはないが、経費担当としてはそれほど信用しないようにしている。百貨店での経験ではある

 が、3カ月間の売上高の移動平均をみれば、大体今後の売上の動向が掴めるという感触を持っている。

 したがって、例えば 3カ月の移動平均で売上高が5 %ぐらい下がっていたら、その後も5 % のレベルで

 売上高が減少していくことを考えてコスト削減を実施していかなければならない。

 それより良かったらその分は増益でよしとするが、トレンドどおり悪かったときでも営業利益はきちんと

 確保するということを考えなければならない。

 悲観的な前提に立ってコスト削減を進めるわけだから、必す抵抗を受けるが、売上が減ればその分経費を

 減らさなければならなくなるという覚悟を持って取り組まなければならない。

 

『限界は無い』

 中山編集長  「経費削減は相当やっており、そろそろ限界だ」といった意見もみられるが、どう考える

 か。

 土井  限界というのは何をもって限界と言うのか。

 それは実際に見なければ判断できないものだ。

 結果として限界だという場合はもちろんあるだろうが、逆にまだまだ余力があるということも当然ある。

 コスト削減の取組みを時系列で捉えてしまうと「毎年やり続けているからもう限界」となるのかもしれ

 ないが、それは視点が違う。

 要はその費用がマーケットから見て妥当かどうか、という点を確認しなければならない。

 そうなるとベンチマークが必要となる。

 しかし経費に関するベンチマークというのは情報が取りにくいので、一番詳しく知っている担当者が

 「限界だ」と言い切ってしまえばそれが正しいことになってしまいがちだ。

 だからこそ注意すべきなのは、その担当者がどのような意識から「限界だ」と言っているのかと言う事。

 この観点からも、コスト削減について評価されるような組織かどうか、がポイントになるだろう。

 経費が掛かっている部分のスペック自体を変えてしまうと言う発想も重要だ。

 結局、エンドユーザーにとって問題が起こらず、目的を達成できればよいのであり、その手段は何だって

 良いのだ。

 例えば、我々はトイレの処理をこれまで紙を用いて行っていたのだが、シャワートイレの出現により快適

 に処理できることが分かった。

 この時、紙より水の方が快適で費用が低いため、水(=シャワートイレ)を利用すると言う判断をした

 わけだが、実際には、これまで利用してきた「紙でなければだめなのだ」などといった制約が無意識の

 うちに横たわっている場合が多いのだ。

 つまり、こうした固定概念や制約を取り払い、発送を変えると言うスタンスが、「限界」という考えを

 乗り越えるのに必要だろう。

『毎月の全体会議で目標を追求』

 中山編集長 経費削減目標に対する達成状況の管理が非常に重要となろうが、この点についてどのように

 考えているのか

 土井 我々は毎月の「コスト削減進捗会議」をはじめとして、進捗管理を愚直に繰り返していくことが

 一番のポイントととらえている。

 その「進捗会議」では、人件費、管財、物流、用度、等の実務担当者も出席させる。

 大事なのは、店長とか経費の統括責任者のみに出席を求める縦割りの会議体ではなく、各担当も出席させ

 縦・横の論議の場とすることだ。

 彼らを集めて毎月、目標の達成状況について報告させる。

 目標に届いていなければ、原因を確認しどうすればよいのか論議し、縦横の管理者がその場で解決して

 いく。

 また各店から担当者が出席しているので、上手くいっている店の担当者からノウハウが得られるし、当然

 それは全店で共有されることになる。

 そして、そこで出た結論を実行に移すことを約束させる。

 会議に出席している全員の前で約束するわけだから、次月も同じことは繰り返せなくなるものだ。

 こうした会議を毎月繰り返すことにより、営業利益への執念が生まれ、目標達成に繋がっていく。

 *以下、「㈱JFRコンサルティング」紹介記事のため、略

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